スポーツ選手に多い疾患
筋肉痛
筋肉痛は過度な負担が筋肉の収縮に起こり、その筋繊維の小さな断裂が原因となっていると考えられます。
筋肉痛によって発生する痛みはその損傷した筋繊維に組織が再生する過程で炎症を起こすという説と、蓄積した疲労物質である乳酸の働きであるという説があります。
症状は筋肉の収縮時に2~3日の痛みが続く性質があるため、時には日常生活さえ負担を余儀なくされる場合もあります。
筋肉痛の発生時期にはいろいろな説があり、加齢になるほど筋肉痛が遅いとも言われますが、本来は瞬発的な過激な運動をすることによって生じた筋肉痛は痛みを発生する事が早く、スローな運動により引き起こされる筋肉痛は痛みの来る周期が遅いといわれる説が正しいようです。
アイシング
アイシングには使いすぎた筋肉や関節部に生じる炎症を抑えたり、痛みの軽減に効果を発します。
アイシングには一般的に氷嚢などを利用する場合もありますが、もしそれがなければビニール袋などに氷と水を入れ、0度以下にならないように注意します。
アイスパック等のゼリー状のものは0度以下に冷やされている事があり、凍傷を引き起こす原因となるからです。
方法としては、患部に直接それらをあて、約20分間冷やします。その後30分ほどの休憩をはさみ、また20分冷やします。これらを何度も繰り返す事が必要となってきます。
炎症は長い場合、3日~1週間ほど続く事があるので患部の腫れや熱を調べながら冷やす事が必要となります。
ウォーミングアップ
オーミングアップはスポーツを行うために筋肉を適した状態に準備することに大きく役立ちます。
人間の身体は体温があるレベル以上になったときに機能が高まり、関節には関節の動きを滑らかにするための滑液が分泌されるようになってきますが、この滑液は体温がある一定の温度以上にならないと分泌されないのです。
また筋肉が収縮する為には、筋肉の中でカルシウムイオンが働かなくてはなりません。
このカルシウムイオンも身体が温まってからでないと十分に機能しない事が分かっています。
筋肉が冷めた状態でいきなり運動すると痙攣を起こしやすいのはこのカルシウムイオンが十分に働いていないからだともいわれています。
また、ウオーミングアップは心臓や血管などの循環器へも激しい運動の準備をすすめる働きもあります。
運動にはスピーディーな筋肉の収縮が必要ですが、この時酸素や栄養素がとても必要となります。
いきなりの運動ではこれらの臓器への大きな負担につながるわけです。
また、身体の隅々の細胞の血液から酸素を送るとき、ウオーミングアップが不十分であるとこの伝達に支障をきたすのです。
したがってウオーミングアップをして温まった身体よりもいきなりの運動のほうが息苦しく感じる事もこうした点に原因があるのかもしれません。
クールダウン
運動を激しく行っている最中は心臓も激しく働いて血液を送り出していますが、急に手足をストップし運動をやめると血液の流れは激しいままにその作用は一気に心臓への負担となります。
また、クールダウンをしたときの心拍数の下がり方と、急に運動をやめた時の心拍数の下がり方にも大きな違いがあり、クールダウンをした方が心拍数が下がりやすいとのデータもあります。
このように人間の身体はいきなり始まりいきなり終わることはとても難しく自分の身体の事を考えたり、スポーツそのものの成果をあげるためにウオーミングアップやクールダウンが絶対に必要となってきます。
スロートレーニング
通常の速いスクワットとスローのスクワットの筋肉の力を筋電図という装置をつかい調べると、速いスクワットでは途切れ途切れに筋肉は力を出していたのに比べ、スローなスクワットでは途切れることなくずーっと力を出し続けているのです。
筋肉が力を出し続けている状態では筋肉内の血管が圧迫され続け、血行不良が続きます。
血行不良が続くと筋肉では酸素が不足し、筋肉は無酸素運動に似た状態になります。
この為、乳酸が発生し筋肉ははれ、それが脳への信号となります。
これにより脳はスイッチが押され成長ホルモンを分泌し、その結果、筋肉は太くなるのです。
いわば、今流行のトレーニング方法 加圧トレーニングと同じような状況がスロートレーニングでは得る事ができ、スロートレーニングによる関節への負荷はとても優しいものとなり、スポーツ選手だけではなく年配者への
トレーニング方法としても最適なのです。
ストレッチ
ストレッチは筋肉の収縮性を良好な状態にすることを目的にその筋肉を引っ張って伸ばすことをいいます。
また、筋肉本来の柔軟性を高めたり、関節可動域を高める事も目的としていますが、血液やリンパも体液の流れを促進。
また新陳代謝の向上も考えられます。
ストレッチには静的ストレッチや動的ストレッチまたPNFストレッチなどがありますが、一般的には静的ストレッチが身体に負担が少ないとされ対応される事が多いのです。
その効果には様々考えられるがウオーミングアップでのストレッチは筋肉自体を温め、筋肉を良好な状態で身体を動かすことができ、クールダウンでは筋肉内にたまった乳酸などの疲労性物質を即座に洗い流したり、炎症を抑える効果もあります。
また、捻挫や肉離れなどの障害を引き起こしにくかったり、それらの症状を引き起こしたものの治癒の一環としても使われる事が多いのです。